2026-04-30·入門ガイド·約7分·clashsupport.com

Clash のルール・グローバル・直接接続、3つのモードの選び方:初心者向け切替ガイドと典型シーン

Rule、Global、Directは全てのClashクライアントに共通する3つの動作モードで、ほとんどのGUIの画面上部にこの3つの切替項目が表示されています。これらが決めるのは「ネットに繋がるかどうか」ではなく、各接続がどの経路を通るかです。本稿では典型的なシーンに沿って、3つの振り分けロジックの違い、いつ一時的にグローバルへ切り替えるべきか、直接接続モードの実際の使い道、そして切り替えても「反映されない」と感じたときにどこを確認すべきかを整理します。

3つのモードがそれぞれ何をしているか

まず前提として、モード(mode)はクライアントの全体スイッチであり、「どの方式で出口経路を選ぶか」を決めるものであって、どのサブスクリプションやどのノードを使うかとは直接関係ありません。3つのモードの動作の違いは以下の通りです。

  • Rule(ルールモード):新しい接続ごとに設定ファイル内の rules リストを上から順に照合し、あるルールに一致すればそのルールが指定する策略グループで処理(プロキシ、直接接続、または拒否)します。すべて一致しなければ最後の兜底ルール(通常は MATCHFINAL)に落ちます。これが日常使いのデフォルトモードで、国内ドメインは直接接続、海外ドメインはプロキシ、広告ドメインは拒否という振り分けは、このマッチングロジックによって実現されています。
  • Global(グローバルモード):rules の判定を全てスキップし、すべての接続が同じ策略グループ(通常はメイン画面で選択中のノードや策略グループ)を統一的に通ります。ドメイン、IP、プロセスの区別はありません。
  • Direct(直接接続モード):同様にルール判定をスキップしますが、方向は逆です——すべての接続が本機のネットワークから直接外部へ出て行き、プロキシノードは一切関与しません。

言い換えると、Ruleは「きめ細かい振り分け」、Globalは「全てプロキシ」、Directは「全て直接接続」です。3つは互排他であり、同時に有効になるのは1つだけです。

ルールモードのマッチング順序とよくある落とし穴

ルールモードは最も使われる一方で、最も落とし穴にはまりやすいモードです。マッチング順序が絡んでくるためです。典型的なルール片は以下のようなものです。

rules:
  - DOMAIN-SUFFIX,cn,DIRECT
  - DOMAIN-KEYWORD,google,PROXY
  - GEOIP,CN,DIRECT
  - RULE-SET,reject,REJECT
  - MATCH,PROXY

重要なのはルールは上から順にマッチングされ、一致した時点で即時に有効となり、それ以降のルールは検査されないという点です。範囲の広いルール(例えばある RULE-SET の集合)を前に置いてしまうと、後ろにあるより厳密なドメインルールが永遠に実行されない場合があります——これが「ルールを変更しても反映されない」という報告の最大の原因のひとつです。rule-providers で取り込んだ外部ルールセットも同様で、これらは単に一括のルールをある位置に挿入するだけであり、順序の問題は依然として存在します。

ルールモードでもう一つ見落とされやすい点として、GEOIP 系のルールはGeoIPデータベースを使って接続先IPの所属地域を判定しますが、データベースが期限切れや読み込み失敗を起こしている場合、このルールはそのまま無効化されて次のルールに落ちます。見た目は「ルールが効いていない」ケースとほぼ同じですが、根本原因はルールの文法ではなくデータファイルの問題です。

いつ一時的にグローバルモードへ切り替えるべきか

グローバルモードはきめ細かい振り分けを犠牲にする代わりに、「干渉要因を排除し、ロジックを最もシンプルにする」ことを得られます。実際の使用では、以下のようなシーンで一時的に切り替えるのが有効です。

  1. ルールが正しく書けているか確認する:あるサイトへのアクセス異常がルール設定の問題だと疑われる場合、まずグローバルモードでテストします。グローバルモードで正常にアクセスできればプロキシノード自体には問題がなく、ルールマッチングに問題があることになります。グローバルモードでも異常が続くなら、問題はノードやサブスクリプション側にあります。これが最も基本的かつ実用的な切り分け手段です。
  2. 速度や遅延を比較する:特定のノードが各種サイトで実際にどう振る舞うかをまとめて確認したい場合、ルールに振り分けロジックを乱されたくないので、グローバルモードならすべての通信が同一経路を通るため、結果がより分かりやすくなります。
  3. ルールセットが一時的に欠落・破損している:外部ルールセットのダウンロード失敗や文法エラーでルールモード全体が異常になった場合、まずグローバルモードに切り替えてネットワークの利用を確保し、その後で設定を修正します。
  4. ルールに誤って「直接接続」と判定された海外リソースへアクセスする:あるドメインが本来一致すべきでない直接接続ルールにたまたま一致してしまい、すぐに設定を直すのが面倒な場合、グローバルモードを一時的な回避策として使えます。
注意

グローバルモードでは国内サイト(ネットバンキングや動画サイトの地域制限など)も同様にプロキシノードを経由するため、認証コードの増加や地域判定の異常などの副作用が出ることがあります。確認が終わったらルールモードに戻すことを忘れないでください。

直接接続モードの実際の使い道

直接接続モードは「プロキシを切った」ように見えますが、Clashを終了することとは完全に等価ではありません——システムプロキシ設定やTUN仮想ネットワークカードなどの引き受け方式は依然として有効なままで、単にすべての通信がClash内部で強制的に直接接続と判定され、いずれのノードも経由しないだけです。よくある用途は以下の通りです。

  • プロキシノードが使えるかどうかを切り分ける:あるサイトへのアクセスが異常な場合、直接接続モードに切り替えてテストします。直接接続モードで正常にアクセスできれば、問題はプロキシノードや相手側サーバーにあり、本機のネットワークやClashの設定ではないことがほぼ確定します。
  • プロキシ自体が速度を落としているかを切り分ける:LAN内でのファイル転送、社内サービスへのアクセス、自宅NASへの接続などのシーンでは、そもそも遠隔ノードを経由する必要がなく、直接接続モードなら無用な迂回を避け、遅延を減らせます。
  • 本機のネットワークの基準状態を一時的に確認する:ネットワークの問題をデバッグする際に「Clashを経由しないとどうなるか」を知りたい場合、直接接続モードはクライアントを完全に終了するより手軽です。システムのネットワーク環境を再設定する必要がなく、ルールモードへ戻すのもワンタップで済みます。
  • ソフト更新や大容量ファイルのダウンロードなど、プロキシノードの通信量に敏感な操作:一部のサブスクリプションには通信量の上限があり、大容量ファイルのダウンロードを直接接続で行えばノードの通信量枠を節約できます。

モードを切り替えても反映されないと感じるよくある原因

初心者が最もよく遭遇する困惑は「モードを切り替えたのに、アクセス結果が変わらない」というものです。切り分ける際は以下の観点を一つずつ確認してみてください。

接続の再利用により、既存の接続が振り分けをやり直していない

ブラウザやクライアントソフトは既に確立されたTCP接続を再利用したり、HTTP Keep-Aliveを使ったりするのが一般的で、モードの切り替えは新しく確立される接続にのみ影響し、すでに確立済みの接続は経路が再判定されません。テストする際は関連するタブを閉じるか、対象アプリを再起動して、新しい接続を発生させることをお勧めします。

DNSキャッシュによりドメイン解決結果が変わっていない

クライアントやシステム側でドメインに対応するIPをキャッシュしている場合、モードが変わっても、以降のリクエストが古い解決結果をそのまま使って接続を開始してしまうことがあります。特にFake-IPやDNSハイジャック系の設定ではこの現象が起きやすくなります。まずDNSキャッシュをクリアするか、Clashコアを再起動してから再テストしてください。

TUNモードが通信を引き受けており、GUI側のモードが同期していない

TUNモードを有効にすると、システムレベルの通信はネットワークカード層で直接引き受けられます。クライアント画面上のモード切替がプロキシポートにしか作用せず、TUNネットワークカードのルーティングテーブルが同期して更新されない場合、「画面上は切り替わっているのに、実際の動作は変わらない」という錯覚が生じます。この場合は、TUNネットワークカードを一度再起動するか、設定ファイルを再読み込みすることをお勧めします。

ルールモードで想定外のルールに一致している

ルールモードに戻したあとで動作が想定と違う場合、すぐクライアントのバグを疑うのではなく、まず前述のマッチング順序に沿ってルールリストを一通り確認し、特に RULE-SET で取り込んだルールセットの範囲が広すぎて、本来もっと後ろでマッチングされるべき接続を先取りして遮断していないかを確認してください。

複数の策略グループ間に依存関係がある

Globalモードで選択しているのが単一のノードではなく策略グループの場合、そのグループ内部の負荷分散や自動選択などのロジックは依然として有効なままです。挙動が想定していた「必ず特定のノードを通る」と完全には一致しない場合がありますが、これはモード切替の失敗ではなく、策略グループ自体のスケジューリングロジックによるものです。

3つのモードの覚え方と日常的な使い方

3つのモードの位置づけを一言でまとめると:ルールモードが通常状態、グローバルモードは切り分けや速度測定のための一時的な道具、直接接続モードはプロキシという変数を排除するための対照群です。日常的なネット利用はルールモードのままで構わず、アクセス異常に遭遇したらすぐに設定を変えず、まず直接接続モードとグローバルモードにそれぞれ一度切り替えてテストしてみましょう。それだけで、問題が本機のネットワーク、プロキシノード、ルール設定のどこにあるのかをおおよそ判断でき、その上で的を絞って対処する方が、闇雲に設定ファイルを書き換えるよりはるかに効率的です。

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